言葉では言い表せない言葉。それは運命というもので成り立っていて、僕たちをそっと包み込んでくれる。すっと前に出てきてすぐに立ち去ってしまう、すごく悪戯好きな人なのだけど、それでもきっと出逢ったことには意味があるんだと思う。突き刺さった杭の中に峠を越えた証があると思うんだ。こうして孤独の夜を超えてきたからこそ、自分なりに表現ができている気がするんだ。奥底で鳴り響くすべての源が、鼓動して、行く末を見ている。
あの言葉を自分が言うと思わなかった。志高くして出逢った言葉。そして自分が成長した証。それが一つ一つ重なって、自分のものになっていく感覚。自分と一体になっていく感覚。世界が、この世界が一つになっていく感覚。それだけを感じていればいいという兄の言葉を借りるとしたら、僕だけが置いてけぼりにされている気がするんだ。心の奥でいい加減なことをしているつもりはないが、見えてしまうものは見えてしまうんだから仕方ない。言葉の中に魂が宿るとしたら、その起点は愛なんだろうな。
厳しいことを言うような気がしていた。言われるような気がしていた。でもそれはきっと温かくて神秘的で、確かな愛だったんだと気づいた。心が現れるようなことを感じても、純粋さを失わなければ大丈夫。権化を知らない神様だから、言葉なんてちっぽけなものなんだと。天然さ、純粋さ、無垢な心が世界を救ったなら、僕たちは何のために歴史を紡いできたんだろうか。意味のある言葉を宛がって、重心を前に落として、躓いてもいいから走っていたあの日々。小さな音が、世界を救ってくれたことを覚えている。
意識的に人生を歩もうとすればするほど、洗練された記憶たちがよみがえる。言葉のことをもっともっと知らないといけないというが、そんなことはない。僕たちはきっともともとすべてを知っている。だから、ありのままでいいんだと、世界は教えてくれた。中心から遠ざかる雲を見て、未来を感じるままに、愛することを知る。