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月は空に恋して

古いところ、生きている証。それは包んでいるところ。紙に書いてある点字。そんなこと、ここに君がいなきゃ何の意味もない。沈んでいる夕日に手を翳してみて、甘い記憶を味わう夜。そんなことをしていたら、人生なんてあっという間に過ぎてしまうんだ。僕自身に残されている時間、一杯のアイスコーヒー。がらくたのわをん。抜け殻のようだった。自分にとっては意味のあるものでも、ある人にとっては意味がないもの。その勢いすら、無くなってしまうところ。夜を明かす。加えるエッセンス。少しだけ妖艶な空気が文中に流れる。

言葉は面白い。その一ページに、それぞれの匂いがある。鋭い言葉を使えば、その一節は刃になり、優しい言葉を使えば、戦争すら終わらせることができる。だから僕は言葉が好きで、本が好きなんだと思う。作家にとってページはキャンバスであり、段落は紙。文章は筆で、言葉は絵の具。その全体で生きることを楽しんでいる心。エンドレスの点と線と繋いで、いつも抱えている孤独と闘う。

「古い言葉を知っているか。」

「古語ってこと?」

「違う、愛のこと。」

「ああ、それなら、前に学んだ。」

「あれは、気持ちがいいな。」

「何も信じることができないところから、始まる感じ。」

「そう。」

「泣き出しているところ、愛だったんだな。」

「掻き消している声も、愛なんだよね。」

「できないことばかりじゃない。」

「そうだね。」

夏の雨は気がつくと止んでいて、ゆっくりと流れる時を止めて、僕は祈っている。この世界が平和になることではなくて、人が人として生きることを。溶け出した色が、一つになる時、だんだんと夢は叶う。頼ること、不安な心もあるけど、朝が来ることを信じている世界。生きているところを見ていると、だんだんと勇気が湧いてくる。それは暗い夜道を一人で歩いていたら、あなたがコンビニでバイトしていたこと。夏の空に咲いた虹、二人の未来。重なる運命。

きっと甘んじていたんだろう。続いていく道を進んでいるところ。忘れている心も、何もない。思い出す、思い出す。朝が来るまで、僕ら一緒にいよう。

「君がいた頃、なんだろう、懐かしかった。」

「あの時は、生きていたよね。」

「うん、空白だらけだったけど、愛おしかった。」

「笑ってたね。」

「俺が?」

「そう、あなたが。」

「眺めているだけだろ、世界を。」

「それって、花じゃないの。」

「これは、ただの。」

「ただの?」

「何でもない。」

僕を埋めるように、世界が笑う。いつもと変わらない風景を、夢を信じて眺めている。僕は僕なりに生きているから、あなたもあなたの人生を生きればいいじゃないか。それは、愛なんかで終わらせられる言葉じゃないこと、僕は知っている。もしかしたら、あなたは月かもしれない。評価を気にして、何かをできていないかもしれない。僕らの間を、優しく流れる時間すら、生きることができていないかもしれない。

あなたと僕は、そうやって深くなっていく。この世界に溶けていく。もう少しだけ、ここに居たいと思う心が、今日も海に響いて、波になって、新しい命が生まれる。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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