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今のわたし

戻れないところから、戻ろうとしているのはわかる。この世界にまだないものを作ることは、真夜中に好きというようなもので。二人で見ていたぎこちない工事現場。冗談まじりに言えるようになった時、僕は歳をとって、君を誘う、君を誘う。一と善は、悲しい顔をして、さようならを言うのだろう。何度も夢にしてしまうように、終われないこの人生の花びら。

何も言わないのなら、いっそのこと人生を終わりにして仕舞えばよかったじゃないか。きっと世界は永遠を誓って、時のかけらを、いいよと見過ごしてしまうのだろうな。美しいあの日の、今日を思い返していた曇り空に出会った。何かに映る恋を、していると勘違いしている言葉たち。体が溶けていって、本当のことをなくして、生きることすらも忘れてしまいそうな夜に。

それなら不安にならなければいい。それなら生きなきゃいい。世間は簡単にそう言う。簡単に、簡単に。踊り子に乗って、春を迎えに行くことすらも、僕たちは忘れてしまっているんだ。弁当を二つ買って、席に座れば、それが人生。何かに春を見たのなら、桜という言葉にすら、永遠を感じることができるんだ。

特別なことは何も起こらなくていいから、海が見えていればそれでいい。春が来ればそれでいい。桜が咲いていればそれでいい。海が見えるところから、広さを関係なく山を見る。春が咲いている、君はそう表現したね。僕は今でも覚えているよ。各駅停車がちょうどいい、泳いでいるところから、さらに深海へ。寄り道、珊瑚。知らない海はないと、君は言った。今でも、好きだと言えるあなたへの愛を、弾ける心に添えて。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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