世界中で起こっている戦争の数々を、だんだんと幸せの色に塗り替えていく仕事がしたい。そっと背中の羽を付けて、ペンキを塗るように、幸せを世界に塗りたい。もしかしたらそういう人が未来にいるかもしれないと、そしたら大人気職業だ、なんて思いながら、そもそも戦争なんてなくなったらいいのにと呟くワンルーム。浮かれて君を騙して溜息をついたワンルーム。雨が降りそうだからと傘を持っていくことを、面倒くさいと言ったワンルーム。誰にも言わないように、誰にもばれないように、散らかっても片付かない人生と、よかったとこだけ集めて、笑っていられたらいいのにな。
クーラーボックスに入っている数々の詩たちを、そっと眺めながら、僕の暖かい心に少しずつ溶かしていく。雨が降って地面が濡れて、花が痛いと言っている言葉すらも、僕たちは聞くことができないんだ。どこかで見えないところに、上手く濁してちゃんとわかっていると言ってほしいだけの僕たち。少しの不安も誤魔化したりしないで、降りやまない雨に、空を見上げて溜息をついてしまう言葉。今日も空が空であることに安心する。
今日もこの星がこの星であることに安心する。自分が幸せで居れば、この言葉もきっと届くと安心できる。あなたは夕日に溶けて、明かりを灯して光になって、怖くはないからと、この世界を去って行った。最初から僕たちは何も持っていなかったんだ。響いてもいない、全部終わったみたいに忘れないでいてくれればそれでいい。帰るところ、帰らないところ、あの傷を空蝉に投じて吹き飛ばしてしまっておくれよと。
憎んでいる世界と、この世界に溶ける感覚を人生で味わっている。あなたは弱音を吐いて、僕はきっと幸せを言うのだろう。最後ぐらい、僕も神様で居たいと願う。僕がいない世界を上から眺めていても、あなたは存在すらしないんでしょう、世界。全部が終わったらいい、帰ることだけ、ありがとうと言いながら、この世界を純粋に見つめていればいいじゃないか。一つだけ、憎んでいるとしたら、それは、僕が僕であることだけなんだ。いやそれは、愛しているということなのかもしれない。
世界と、世界。僕と、僕。きっと人生は儚い生き物のように言葉をそっと添えてくれる。生きている言葉を、桜に乗せて四月はやってくる。昼間はやけに眩しくて、気分とは裏腹に元気な扉を、ミイラとして認識して、僕たちは拒むのだろう。こんな日々が続くなら、僕は何も信じることなんてできない。ずっと昔に読んだ本は、底をついて栞が折れている。
月が言っていた、夜が近づいてくる世界と、人生を光る灯に、僕たちはいっそう光ると信じていることを、知らない世界と、知っている世界と。