八月の終わりに君がいなくなってから、もうすぐ一年が経つんだ。なくなってゆく言葉の数々に、僕の心はだんだんと繋ぎ目が曖昧になっていく。光る音が、だんだんと遠くなっていく。刹那にゆらめく言葉を、心の中にじっと蓄えて生きている。君がいた頃は、嵐の中を歩いている時でも、なんだか愛おしかったことを覚えている。それは天文台を盗んだのが僕らだったからなんじゃないかと思うんだ。君と一緒に見た星空を、僕は忘れない。君だけだったあの日に、誰に笑われたって平気になった。
例えば。深夜の星空で、何かが起こったとしても、僕たちは見つめ合い、愛し合うことができていたはずなのに、こんなに近くで遠い君。癖のある長い髪を巻いて、僕の前にもう一度現れてくれないか。もう少しで曖昧さを消し去って、全てのことが繋がる時が来ると思うんだ。僕が二人いればいい。僕が二人いればいい。どれほどそんなことを考えても、願いなんてものは叶わないんだ。僕らにまつわる全ての言葉。今なら僕は全部を愛することができる気がする。
揺らぎ続ける世界と、一緒に作っていく世界は、やっぱり夢だった。やっぱり桜だった。やっぱり刹那だった。君が僕にくれた言葉。それは一生忘れないところまで、僕の心の奥に届いているから。遥か先で何かが起こっても、僕はあなたのことを愛している。どれだけ世界が終わっても、僕はあなたのことを愛している。鳥の巣、小さな雛が今日産まれた。誕生日、あなたの誕生日も八月だった。抱きしめるふりをして、そっと心を見ることができたらいい。
そんなことを思いながら、今年もまた、夏がやって来るんだろうな。