MENU

迷うこと、歌うこと。

こんにちは。海野深一です。今日は9月11日。14時ごろから、東京では大雨が降り始めました。僕は相変わらずカフェで執筆をしています。なんだか今日の雨は、少しだけ心が上向きになる、そんな雨な気がします。コーヒーと通り雨、今回も記事を書いていきたいと思います。

始まりを考えると、なんだか気が遠くなる。歩いていても、歩いていないみたいな気がして、本当のことは誰にもわからないのだけど、もどかしい。あなただけが知っていること、僕だけが知っていること、それが似たもの同士な気がして、少しだけ知りたくなる。明日もきっと、同じような日々が始まる。僕らはそうやって、溶けている同じ粒度の毎日を、工夫して楽しまないと生きていけない、不器用な生物なのだなと、思う。

レインボー。晴れたままの空では、僕はまだ満足できない。この自由な世界で、また何かの理由で、僕らは泣いている。好きになることも、会うことも、どっちも同じなのに、感情の振れ幅が大きくて、黒い影になる。元気がない心にまた、雨が降ってきた。誰かを待つことがこんなにも辛いことなんて、思わなかった。あなたに届くなら、伝わるのなら、なんでもいいと思ってしまう。光源を辿って、またあなたに、会いに行ってもいいかな。時間のからくり。そっと命に変わる。包まれる愛。

気づいているのなら、またあの日の地下鉄に乗りたい。誘っている入り口から、十五分ぐらいの旅。潜り込んでいく、忘れている声。誰かの心をまた盗もうとして、青空に隠れて、降り続く言葉。芯。サンタクロースは、もういない。プレゼントなんてもらえないまま、終わる始まり。同じ教室。微笑んでいる夕暮れは、時計台のしもべ。不意に誘われる匂いに、ついカッコつけてしまう。明かりが灯る、あの空。もうすっかり、夜になった。

今思うと、僕は僕でいられたのかな。旅をして、時計を見て、そうやって終わる人生。海が見える街で、また僕は駆け出し、隣に座っていたあの子に会いにいく。溶けている空間に縛られながら、気持ちを整えて、少しだけ踏み出す一歩。並んで歩いている日々を思い出して、運転する車。友達にした、惚気話。少しだけ恥ずかしかったことを思い出して、一人で笑顔になる。遠くに見えるのは、河川敷。滞り人の波を抑えて、綺麗な河。

言ってしまえば、僕らは壮大な物語。ゆっくりと歩いては、沈んでいき、止まることを知らない今日。行き場を失う心。そっと撫でてくれるあなた。そうやって手を取り合って、また生きていく。猫が、目の前をゆっくりと横切った。遠くの橋で、カップルがキスをしている。隣り合う星たちは、お互いの物語を楽しんで、未来を食べる。心だけなのだろうな、本当に自由で、隠すことができるのは。愛なき島で、また出会う渡り鳥。久しぶりだねと、絶望を祝う。それが人生だなんて、あまりにも滑稽じゃないか。

 

「夕暮れが見える星は、いいわね。」

「どこで知ったんだ、夕暮れなんて。」

「海が綺麗な星、だったわ。」

「そんな星があるんだな。」

「ええ、自転車で坂を降りる時が、気持ちよかったわ。」

「あっという間に終わるんだろうな、また。」

「でも、この星であなたに出会えたことは、私は嬉しいわ。」

「そうか。」

「一回きりなんて思いながら生きることは、少し重いわね。」

「それでも、だからこそ、物語が生まれるのだろう。」

「勇気を出すことね。」

「ああ、そうだな。」

 

朝の少し澄んだ記憶 風

いつの間にか僕ら 愛になって 信じあっていた

時にいがみ合い 傷つけ合い 隠してきたものもあった

 

空に浮かんでいる物語を 知らないまま

僕らはここまで 歩いてきた 時に走りながらも

ずっと ずっと 歩いてきた

 

知らなくてもいいことを そっと横に置いて

あなたのことばかり 考えていた 二十三日の午後

少し外を見れば 雨が降っていた

 

思い思いの歌が、あってもいい。アスファルトの上でも、生まれ育つ愛。後ろ指を刺されて、心臓が少しだけ眩む。鼓膜みたいに、大きな音を出せば出すほど、呼応しない世界。花が散る。描いているのは、翼なのに、広すぎる空に天井がある気がして、またワンテイクになる。子供みたいに書き殴る、絵のような世界だということを、誰も知らない。エメラルド。一回きり。黒いリュックと、首筋に落ちる雨。控えめな僕らの歌う歌は、この世界に響くのだろうか。

気づけばまた、あの街へ、足を向けてしまう。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

目次