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純度と信条

夜の色が僕たちの頭に拡がるときがある。きっと世界は純粋で儚くて、消えることのない世界の美しさを奏でることがとめどなく人生を彩っているんだろうな。僕たちは夜になると世界に還って、おおきな塔を登って、小さな呼吸をしながらそこに行くのだろう。新しい目が来る前に、大人になって僕らは呼吸をするほど、今を生きることすらもできていない人生。明日は死なないで、心の奥に住んでいる恐竜。きっと世間はいつも同じ場所で蠢いているんだろう。転んでしまうことと、小さな世界が見えない堅実な決まり事。

外れないコルクが人生を表している気がする深夜のバー。大人になって僕らは、息を吸うのも忘れて人生を限りなく続けているんだろうな。日々の明日はいらない、きっと世間はこうして息を吸って、吐いて、重心をそっと奥にしまって、黒いブーツを片手に人生を歩いている。空っぽのネオンと、僕たちのオアシス。夜の東京に合わせて、夜空を超えて、夢の中に会いに行くと信じている言葉たち。間違えたり、悲しんだり、息が苦しい日があったとしても、僕らは生きている。優柔不断でとろける日々があったとしても、きっと世界は片付けられない。吸い込むハイライトと、明け方の駅のロータリー。

間違えたり悲しんだり、どうにもならない言葉の数々を曖昧で片付けている世界。もっともっと深く言葉と世界を味わうことができれば、どんなに楽だったのだろう。どんなに世間を見つめても、そこに答えはなくて、ずっとずっととろけるアイスクリームを見つめているんだ。そこに答えはなかったとしても、とろけるように、僕たちは世界に溶けていく。それでいいし、それがいい。

遠くにあるハイライト、人生を彩る、耳をすませば聞こえてくる人生の灯。僕に色を差し出さないでとあなたは言った。僕に触れる悲しい声と、君に送りたかった、消えてしまうような光たち。僕らを冷めた顔で睨んでいる現実と、飄々と人生を遊んで居る僕ら。愛言葉を言ったとしても、まだ春は来ないと信じて、きっと世界を純粋に見つめている目が、快速で飛ばしていくトラックが、知らない街さえ知っている。ほどけてしまういつの日か。まだ結んでいない靴紐が、きっと世界を教えてくれると、あなたは言った。定点観測、彼はまたいつかの流星群を見逃した。かすかに揺れているきらめきを、ガラスの靴を履いて、その姿を見ていたいんだ。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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