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沈んでいく

部屋の明かりを消して、そっと着飾りを脱ぎ始める。あなたの肌が露になって、街を堪能して元に戻って、そっとまた桜になる。本当の君を見た気分になって、素敵な影を落とす言葉。ぽつぽつと雨粒のように僕の頭上をリミックス。ブラインドを開けたとしても、網戸があって雨が見えない午後三時。艶のあるハイライトが、僕のためにあるんじゃないかって、そんなことを考えて、あなたに体を寄せる。重力から少し解放された気分になって、心が浸透していく、それはあなたの肌であり、心であり、海なんだと言えるかもしれないね。

目の中に浮かんでいる涙は、誰の仕業なの。ちょっとだけ緑になっている気分たちが、淡い思い出を沸騰させる。夜明けを待っている帰り道を無くしたあなたは、私の家に来た。不器用に笑って、あなたは私に、野畑の花を渡してくれた。変わることはないと、思い出すことはもうないと、映画みたいな風景でもないと。涙が、零れたら、涙はきっと世界になる。あなたに浸透して、あなたの肩に頭をそっと乗せて、別れの時を知っている。この先に言う言葉、踏み出してしまえば楽なんだと、心の涙もそっと人生に零れる。ふるいに任せて、残像に触れてみる。涙がこぼれたのだとしたら、きっとそれは恋の残像。帰り道を間違えたら、茜色に染まる彼方が見えた。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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