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カップ

小さくて白い光が夜に舞う。きっとこれは、世界からのご褒美。僕たちをそっと包み込んでくれる白い光と、ぼんやりとした心の在処。世界から見たら僕たちなんてちっぽけだけど、僕たちから見たら世界が全てで。限りある命の中で、花弁咲いて散る桜のように僕たちは過ぎ去ってゆく。誉色のクッキーと、心の雨とその礫。それにはきっと愛が詰まっていて、僕たちをそっと支えてくれている。純粋な言葉と、気持ちがこもっている人生と、あなたの記憶。お言葉に甘えて、ちょっと添い寝させてくれないかな。

椅子の裏に花が添えられている。彩り豊かな花だ。世界が言うには僕たちこそが花であるにもかかわらず、僕たちは花を愛でる。それは神経が無限の宇宙であるように、それは言葉が広い海であるように。とりあえず、ビールなんて言って、今日という日をやり過ごす。居酒屋の席の裏、そっと添えられた花を見て、この世界の広がりを感じる。

僕らは僕らで居てもいいの。そっと子供が隣の席で呟いた。世界から見ても人生から見ても、僕らは僕らで居ていいのだと、白い光は教えてくれる。それは曖昧であり希望であり、温かいびわ茶。それにそっと口を付けて、心をそっと沈ませてみる。全身に水が溶けてきて、香りの中に茶葉が入っていることに気づく。世間から見た僕たちみたいだと、また子供が言った。じんわりと広がる黄土色の香りたち。空に向かって呟いてみる、僕たちは生きている、と。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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