なんだか涙が止まらない夜がある。泣いても泣いても人生が終わらない夜がある。他人の目を欺いても手に入れたかった喜びが、手から零れ落ちていく。叫ぶ自分を客観的に見て、急にすべてがどうでもよくなる。曖昧な世界に身を投げて、このまま眠れないまま肉体なんかなくなってしまえばいいとすら思う。きっと人生を投げ売ることは簡単で、僕たちは人生に幻想を抱きすぎている。さようならと一言言ったら、飼っていた猫はトラックに身を投げ出した。
世間体を気にする体と、身を乗り出す心たち。体が追い付いてこない夜が今日も続く。両手に人生を抱えても、余るほどに手放すことなんてできないのに、僕たちは幻想を抱いている。今だけはすがっていられたら、上手くいくと思ったのに。きっと世界はすべて一緒なんだと、あなたは言った。でも僕は違うと言った。即座に出来上がる世界と、一生かけても何も始まらない学問。ただ苦しいと言っている時間が、何よりも幸せなことに僕たちは気づいていない。二人で歩いている幸せが光る。雨が溶けて朝が来て、信じていたことが崩れる世界。
どこにも行かない世界があるとしたら、一体僕たちは何を自由だというのだ。僕がいるから世界が在るのだとしたら、何をもって人生と呼んで、僕が見ている世界は何だというのだろうか。それはきっと、あなたなのだと、君は言ったね。
僕は人生を歩んでいる。世界も世界を歩んでいる。不動に見える物にも意志があって、僕たちにそっと語り掛けてくれるんだ。役目を終えて去って行く姿には、美しささえ見る。泣いていないか、笑っていないか、そんな価値観、人にしかどうやらないらしい。
僕たちは余計な感情を持ったのか。僕たちはいらない自由を、歴史を通じて手に入れたのか。水平に見える世界が変化する。あなたじゃなきゃいけない理由があったと、世界は言った。世界は、僕のことを一つだと言った。引きずっている言葉たちが、優しく撫でている。私の中に僕じゃない誰かがいるのだとしたら、ずっとずっとこの世界は続いていくのだろうか。今すぐあなたのところへ飛んで生きた。何もいらないと、言って生きた。辛い、苦しい、悲しい全てを包含して、きっと世界はこういうだろう。
また次も、あなたがいいと。