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今。

この世界で関係ないものがある。それは地位とか名誉とかお金とか、そういうものなんだけど、本当に本当にどうでもよくて、小さな蛇が泣いてしまった。苦労して手に入れたものでも、価値のあるものとは限らない。そして、本当に価値のあるものは現実の幸せの連続から作られるもので、時間はかからないはずなんだ。


メイド服を着ている椿屋珈琲の店員さんも、きっと人間なんだと思う。芸能人でも鬱になるぐらいなんだから、人生なんてさぼったもん勝ちだと思わないかい。心の奥に黒い塊があった時代は辛かった。自分のことを吐き出せないで、ずっとずっと泥沼に足を突っ込んでいた。小さく頷いでも無かったことにされて、大きく一歩を踏み出すと叩かれた。そんなことを考えないでも、心の中では平和な世界が出来上がっていることを僕たちは忘れてしまっている。そう、僕は忘れてしまっていた。永遠の波打ち際を愉しめばいいのに、いずれにしても小さく、大きく人生を変えようとしてしまっていた。


僕はここに居るだけでいいんだと、世界は僕に教えてくれた。ガラスの瓶は、何もしないでもずっとそこに在る。人間もきっと同じなんだろうな。そこに在る、そこに居るだけで意味を成す。それが本質であり、本当なんだろうな。でも、なんだろうこの寂しい感覚たちは。心の中で、それでも世界を変えろと何かが叫んでいる気がする。僕は普通でいい。僕は普通でいい。何もしないでいい、何も成し遂げないでいい。ただ友達と、金曜日にビールを交わしていればそれでいい。否定なんてされないでいい。自分だけと向き合っていればいいじゃないか。そうだよ、何もする必要もないし、何も心配する必要もない。本当の本当に、心の中で今を感じていればいいじゃんか。

涙や雨、寂しさなど、澄んだ青を主なテーマに、
文章を紡ぐ作家「海野深一」の公式ポートフォリオサイトです。

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